ベルリンに来て一週間が経った。
相変わらず夕飯は毎日外食しているためお金が。不健康な食生活ゆえ痩せて動悸が増えたけど、そのぶん見たくない情報を見なくなったので精神的には健康になった。
何かやってるのか、というと何もやってない。けどそれで自分は精一杯だった。異国で毎日生活すること、その生活に体を慣らすこと、それは違うリズムを取り入れることというわけで高校時代のカナダ留学以来だから9年ぶり。カナダのときのおれよくやってたなとハグして褒めたい。
わにの背中を思い出している。
初めて人形劇を観に行った。夜20時から始まるその名も「Death Cleaner」。タイトル負けと夜の人形劇という得体の知れなさにそそられて、遠くの劇場へ足運ぶ。
終演後の拍手が暖かかった。劇団員らしき人が二人、テクガイが一人いて、拍手が収まらないたびに舞台上に出てきて一礼してた。中では酒を飲んでる人もいて、マスクを外して各々ゆったり楽しんでいた。客層もおじいちゃんとか若い男女とか。客数がこじんまりしてたからか、雰囲気も終始穏やかで、時々笑ってた。
劇の内容は断捨離する主人公たちがやむを得ず捨ててしまったものに後悔し、Death Cleanerなる清掃業者が駆けつけ、助けるそぶりをする的な。実際は助けてなくてそこに来ただけ。ドイツ語なので完全にはわからないけど、ちょくちょくコロナネタとか設定ネタを挟むから笑えた。
それよりも長い拍手の方が印象に残った。長い休止符を経てようやく人形劇が戻ってきたことへの祝福のように思えた。歓迎したくて、どうにも嬉しくてBlumenの語が似合うような拍手。陳腐な言い方だけどもそういう個人的で大事な瞬間に立ち会えてよかった。劇場から駅に向かう帰路で静かなピアノ曲が頭の中に響いていた。
作ることはすごくプライベートな儀式で、その頂点に達するのは葬式だと思う。
葬式を境に、その人をますます忘れることができる。あなたみたいな人を地下鉄のホームで見かけたり、電車の中で見かけたりした。一年前に書いていたプチブログの文章をもらって久々に見たら希望と失意を交互に行き来る夢遊病みたいな感じだった。
殻に閉じこもってあなたみたいな話をしていた。
研究室に戻ったらパーソナルヒーターを初めて点けようと思う。
残された寿命が少ないと知ってもどうにかして伸ばそうとした。バースデーケーキにろうそく灯してふーと吹き消す儀式が無くなった瞬間大人になった。失うものは沢山あった。中学の頃の僕にはどうにも刺激が強すぎる時間を今日も淡々と過ごしているよ。