おloquさん
おloquさん
2025 / パフォーマンス / 小出麻代、高橋久美子らとの共作
「おloquさん」は、3人のアーティストが出会うことから始まった。「おloquさん」は人間でも、モノでもない。強いていえば3人が生み出す状況である。 関西には人間ではないものに「お」や「さん」をつける習慣があり、とりわけ京都ではよく耳にする。「お豆さん」「お稲荷さん」「おひさん」など、これらは宮中の「御所ことば」が起源と言われ、寛容で温かみのある表現として今でも親しまれているが、日本語には、漢字、ひらがな、カタカナの3つの文字を使い分け、外来のものを文字で区別して混ぜずに受け入れる性質がある。 「お」と「さん」の間に決して入ることはないラテン語の「話す、言う」を語源とするloquを当てはめた「おloquさん」は、小出麻代・小林颯・高橋久美子が言葉によって敷かれる境界と、その混ざる地点に生じるなにかをのぞき見る試みである。

本作は、小出麻代、高橋久美子らとの共同制作のパフォーマンスである。それぞれ言葉を扱うアーティストであり、三者三様で手法が混ざっていったり、流れていったりした。

私のパートは、ラジオ塔装置と、自転車ラジオ局と呼ぶ装置によるポエトリー・ライディングから構成される。鑑賞者にはラジオが手渡される。ラジオ塔装置からは、関西に移住したアジア系移動者へのインタビューの声が電波に乗せられている。ラジオからは、神戸のベトナム仏教寺院・和楽寺のご住職や、釜山出身の文学研究者、台湾・苗栗県出身の台湾文学研究者、大阪のネパール・インド料理屋のシェフのお話が聴こえてくる。そこには、ビザに左右される移動者の戸惑いが描かれている。


Photo by Toshiaki Nakatani. Courtesy of Kyoto Experiment.

一方、ポエトリー・ライディングでは、私小林と、内モンゴル出身の美術家・HABURIさんが実際に自転車ラジオ局を走らせる。自転車ラジオ局とは、自転車のヘッドライト代わりに取り付けられた唇の像の投影装置と、声の送受信/サウンドボタン機構から構成された、移動式ラジオ局である。ポエトリー・ライディングは、自転車をサイクリングしながら発話した言葉で詩作する行為を指す造語である。演者の二人は、延々とこの自転車ラジオ局を走らせる。走らせながら、お互いの移動にまつわる会話が繰り広げられる。その言葉は移動にまつわる詩となって、発話しながら紡がれていく。


Photo by Toshiaki Nakatani. Courtesy of Kyoto Experiment.

 

Photo by Kim Song Gi (slide//show). Courtesy of Kyoto Experiment.

作・演出:小出麻代、小林 颯、高橋久美子
出演:小出麻代、小林 颯、高橋久美子、HABURI
声・演奏:高橋久美子
美術・映像:小出麻代、小林 颯
翻訳:小林 颯、太田恵以、ジュリエット・礼子・ナップ
設営:宮下忠也
インタビュー協力:金 昇渊、新道牧人、近重秀名子、ティック・ドゥック・チー、松下眞、木之本 マリル ラモス、劉 靈均、アジアン居酒屋ロータス
協力:一般社団法人HAPS、Gallery PARC
助成:アーツサポート関西

「Echoes Now」公演クレジット
舞台監督:十河陽平
舞台監督助手:立上光太郎、内田和成
照明:安武千沙子(RYU)
音響:植松幸太
映像:嶋田好孝、大脇理智
字幕操作:前田将平
テクニカル:小林勇陽、さかいまお
制作:渡邉裕史、豊山佳美
チラシデザイン:竹内敦子(XS)
短期インターン:伊藤花蓮、河野李奈、萬 敬祐