
2022 / 5'09" / single channel video
Queer Filmを自分の中へ消化するために、普段の習慣だったYouTube上の見ず知らずの家族のホームビデオ鑑賞を制作に取り入れることにした。そこには何ら変哲のない家族の様子が写されている。滑り台で遊ぶ、お弁当を食べる、子どもにミルクをあげる。同性婚が出来ない国の、普通の日常への羨望の眼差しがその鑑賞には表れているように思う。恋をせず、厄介な展開は起こらずにただ憧れている。第三者の映像をトレースし続けることで、不安定な均衡の中で生きる一人の姿を立ち上がらせたかった。
トレースの映像のあとに昔会った友人とのZoom上での会話が流れる。彼らも私と同様に、そうした日常への憧れを抱いている。そのうち私と友人は過去の思い出しゲームをし始める。会ったときにこんなことしてたとか、言ってたとか言い合って、相手がその記憶を覚えているか確かめる遊びだ。友人のうち一人は私がかつて片思いしていて、会話の中で私が思い出せる一方、友人が極端に思い出せない状況が生じる。その状況に私は落胆するが、まぁ受け入れるかという具合で映像が終わる。